口腔ケアが効果的な理由
ウイルスの感染を助ける口腔内細菌を減らします
わたしたちの口腔内には400種類近い細菌が存在していて、その数が100億を超えると言われています。そのうちの数十種類の細菌が歯周病の原因菌として知られています。
そしてわたしたちの口腔内にはウイルスレセプターと呼ばれる、ウイルスが吸着する受容体がいくつも発現します。口腔内に入ったウイルスは、そのレセプターを介して細胞内に侵入し、増殖していくのです。通常、口腔内のレセプターはタンパク質からできている粘膜で保護されています。しかし、歯周病菌はタンパク質を分解する酵素を産生し、ウイルスレセプターを保護している粘膜を破壊してしまいます。その結果、口腔内に侵入したウイルスに感染しやすくなってしまうのです。
新型コロナウイルスのレセプターは口腔内の粘膜、とりわけ舌に多く発現しているとの報告が海外であります。歯周病菌がつくり出す酵素が、新型コロナウイルスの細胞侵入をサポートする可能性があります。
また、歯周病によって起こる「炎症」がウイルス感染を手助けしてしまうとも言われています。
歯周病菌は内毒素を放出するため、歯周組織や粘膜に慢性的な炎症を引き起こします。炎症によって歯肉の血管が傷つくため、口腔内のウイルスが体内に侵入しやすくなるのです。また新型コロナウイルスのレセプターは炎症が起こり、広がるほど多く発現すると言われてもいます。
歯周病と新型コロナウイルスの関連性は現時点ではまだはっきりとはしていませんが、可能性の芽は摘んでおくことに越したことはありません。
歯周病の予防や悪化を食い止めるには、原因となる歯垢をしっかり取り除き、口の中の歯周病菌を減らすのが何より大切です。そのためには、ご自宅での丁寧なブラッシングや歯間ブラシ、フロスはもちろんのこと、歯周ポケットの深い部分の歯垢、歯石を除去する歯科医院でのプロフェッショナルケアが不可欠になります。
うがい、手洗い、マスクの装着などの対策とともに、口腔ケアを徹底しウイルス感染対策に努めましょう。